Report
大会レポート

シェーンガルテンおみで競技に臨む ALFA ROMEO Giulietta Spider
17 Jun. 2017
【Day1】深緑の木々と雄大な北アルプスに迎えられ、競技に集中
今年の開催で14回目を迎えたグランプレミオ・アウトストリケ。梅雨の季節も何のその、昨年に続き太陽の光が眩しい、夏空のような晴天のもと開幕した。
ラリー1日目となる17日は、車山高原スカイパークホテルをスタートし、白樺湖畔の競技会場へと向かう。最初のPC競技(決められた区間を決められた秒数で走る計測競技)は、5連続のレイアウトで、なかなか難しい設定だ。エントラントたちは、競技開始時刻になるまで、何度も競技エリアの中を行ったり来たりしながら距離を確認し、ハンドルを握った時のポジションから見える計測ラインの位置を確かめていた。クラシックカーラリーの競技というのは、計測ラインを踏む瞬間を1000分の1秒単位で計測され、その誤差が少ない者により多くのポイントが与えられるという、とてもシビアなことが行われているのだ。
白樺湖畔で競技をこなすと、次の競技会場となる安曇野市役所を目指す。ビーナスラインから望む山々は、空の青さとのコントラストが美しく、また運転していてとても楽しい。そこから国道142号線に入ると、深緑の木々が迎えてくれる。心地よい風に吹かれながら、鮮やかな緑の中のワインディングロードを走り抜け、市街地へ。安曇野市役所では、地元の人たちが応援に駆け付けてくれ、その中には子どもたちの姿も多く見られた。普段見ることのない車を目の前にした子どもたちのワクワクした顔に、エントラントたちも嬉しそうな表情を浮かべていた。
安曇野市役所を出ると、シェーンガルテンおみへ向かう。ここでは、まず競技を一度行ってから昼食をとり、その後、同じ設定で再び競技を行うことになっていた。1回目にうまくタイミングを合わせられたからといって、2回目も同じようにいくかというと、そうとも限らないのがクラシックカーラリーのPC競技の奥深いところ。クラシックカーはその時々によって車の調子も変わるため、またドライバーとコ・ドライバーの精神状態も当然変化するため、同じセッティングでも、結果まで同じにはならないことがほとんどだ。様々な条件が絡み合うなかで、いかに集中し、誤差なしの設定秒数ジャストを刻めるか。上位争いをしているエントラントたちは、体のなかに正確な1秒の感覚を持っており、車と体を一体にして計測ラインを踏んでいく。その表情は真剣そのものだ。
シェーンガルテンおみを後にした一行は、約16km先の聖山パノラマホテルへ。ここで1日目最後のPC競技を行い、地蔵峠のスタンプポイントを経由して、ゴールとなる白馬東急ホテルを目指す。ゴールへ向かうルートからは、雪が残る北アルプスの雄大な山々が目の前に迫り、その景色はまるで絵画のようで、心を奪われる。
ホテルに到着したエントラントたちの日に焼けた顔には、山あいのコースを約290km走行してきた疲労の色が見え隠れしたものの、みな笑顔でお疲れさまと声を掛け合っていた。
その日の夜のガラパーティでは、1日目の各PC競技で1位になったエントラントに区間賞が贈られた。初参加のエントラントからベテランまで、名前が呼ばれると会場から大きな拍手が送られ、互いの健闘を称え合った。それぞれのテーブルがラリーの話で大いに盛り上がり、夜の宴は遅くまで続いた。
(文&写真:岩本 美香)
白樺湖畔で朝一番の競技に挑む JAGUAR SS100 3.5
安曇野市役所では、エントラント全員に地元・安曇野の水が配られた
聖山パノラマホテルにて行われた競技で、計測ラインを目視してタイミングを合わせる PORSCHE 356A Cabriolet
ガラパーティでは、この日の各PC競技の区間賞が発表され、大いに盛り上がった